「光回線にしたいけれど、自宅には電話線しかない…」
インターネット回線の乗り換えを検討する際、多くの方が抱く疑問です。結論から申し上げますと、電話線しかない状態のままでは光回線は利用できません。 なぜなら、光回線は電話回線とは異なる光ファイバーケーブルを使用するからです。
しかし、ご安心ください。光ファイバーケーブルを新たに引き込む工事を行うことで、電話線しかないご自宅でも高速かつ安定した光回線インターネット環境を構築できます。
本記事では、電話線しかない状況で光回線を導入するための正しい知識と、戸建て・マンションそれぞれのケースにおける具体的な手順、注意すべきポイントを徹底的に解説します。
電話線だけでは光回線は使えない!電話線と光ファイバー違い
インターネット通信の基盤となるケーブルには、主に電話線(銅線)と光ファイバーの2種類があります。
これらのケーブルは、データの伝送方式において根本的な違いがあります。
電話線 | 電話線は銅でできた銅線です。 電気信号を用いて音声や比較的低速なデータ通信を行います。アナログ回線やADSLなどで利用されています。 |
光ファイバー | 光ファイバーはガラスやプラスチックでできた非常に細い繊維です。 光の信号を用いて高速かつ大容量のデータ通信を行います。現在の主流であり、光回線サービスに用いられています。 |
光回線と電話回線はデータ伝送の仕組みが全く異なるため、既存の電話線で光回線サービスは利用できません。
光回線インターネットには電話回線は一切関わらず、利用には専用の光ファイバーケーブルの引き込み工事が必須です。かつて主流だった電話回線を利用したADSLやISDNに対し、現在は高速かつ安定した光回線が主流です。
光回線を利用するためには、専用の光ファイバーケーブルを自宅まで物理的に引き込む工事が必須となります。
電話線しかない家への光回線導入ステップと注意点
電話線しかない家に光回線を導入する場合、戸建ては電柱から直接自宅までの引き込みと屋内配線が必要で、工事費用はやや高めで工事時間も一定かかります。一方、マンションは共有部までの引き込みが済んでいる場合が多く、部屋内の配線工事だけで済むことも多いため、費用や工事期間が比較的短くなる傾向があります。
どちらの場合も、建物の構造や管理規約、配管状況によって工事の可否や内容が変わるため、事前に提供エリアや工事可能かどうかの確認、管理者への相談を行うことが重要です。また、工事費用は事業者やプランによって異なるため、複数のサービスを比較検討し、キャンペーンの有無もチェックしましょう。
戸建て編
戸建て住宅に光回線を導入する場合、電柱から自宅まで直接光ファイバーケーブルを引き込む新規工事が基本となります。
戸建て住宅への光回線工事は、配線ルートなどを比較的自由に選択可能で、事前に事業者との相談で最適な方法を決定できます。工事範囲は電柱からの引き込みからONU設置まで一連の作業を行います。工事の際は、引き込み・宅内工事ともに立ち会いが必要です。
導入のステップ
- 光回線サービスの選定・申し込み:
提供エリア、料金プラン、通信速度、キャンペーンなどを比較検討し、戸建て住宅に適したサービスを選び、申し込みます。 - 回線事業者による現地調査(場合による):
宅内の状況や電柱の位置、配線ルートなどを確認するための調査が行われることがあります。 - 光ファイバーケーブルの引き込み工事:
電柱から光ファイバーケーブルを、エアコンの配管穴や電話線の引き込み口などを利用して宅内へ引き込みます。場合によっては、壁に小さな穴を開ける工事が必要になることもあります。 - 宅内工事:
引き込まれた光ファイバーケーブルをONUに接続し、LANケーブルなどでルーターと接続します。必要に応じて、光電話用の配線工事も行います。 - 設定・利用開始:
ルーターなどの設定を行い、インターネットや光電話の利用を開始します。
マンション編
マンションで光回線を利用する場合、その方法は大きく二つに分かれます。
一つは、マンション全体に光回線設備が既に導入されており、各戸はその設備を利用するケースです。この場合、個別の工事は比較的少なく済みますが、いくつかの制約が生じる可能性があります。
もう一つは、マンションに光回線設備が導入されておらず、各戸が個別に光ファイバーケーブルを引き込むケースです。この場合は、戸建て住宅と同様の工事が必要となり、管理組合の許可が不可欠となります。
導入のステップ(光回線設備導入済みの場合)
マンションに光回線設備が既に導入済みである場合は、比較的容易にインターネット環境を整えられます。
既にマンション共用部分に光回線設備が導入されている場合でも、いくつかの注意点があります。
利用できる回線事業者やインターネットのプランが、マンションの契約状況によって限定されている可能性があります。そのため、ご自身が希望する事業者やプランを選択できない場合があります。また、管理組合との契約内容によっては、個別の工事費用が発生したり、特定のプロバイダの利用が必須となることもあります。
共用設備を経由してインターネットに接続するため、時間帯によっては回線が混雑し、通信速度が低下する可能性があることも理解しておく必要があります。
- 光回線サービスの選定・申し込み: マンションに対応したプランを提供している事業者を選びます。
- 契約・手続き: プロバイダとの契約手続きを行います。
- 宅内機器の設置・設定: ONUやルーターなどを設置し、必要に応じて設定を行います。工事が不要な場合もあります。
- 利用開始: 設定後、すぐにインターネットを利用開始できます。
導入のステップ(光回線設備未導入の場合)
マンションに光回線設備が導入されていない状態で個別に光回線を引き込む場合は、特に注意すべき点が多く存在します。最も重要なのは、管理組合の許可が必須であるということです。
工事を行う前に、工事の詳細な計画(配線ルート、工事内容など)を管理組合に丁寧に説明し、書面での承諾を得る必要があります。許可が得られない場合、光回線の導入は非常に困難となります。また、外壁への穴あけ工事や共用部分への配線が必要となるケースでは、工事が複雑化し、完了までに時間を要することがあります。工事費用も戸建て住宅と同程度、あるいはそれ以上になる可能性も考慮しておく必要があります。
導入のステップ:
- 管理組合への確認・許可申請: 光回線導入の意向を管理組合に伝え、工事の詳細な計画を提出し、書面での許可を得ます。
- マンションへの設備導入:光回線未導入の場合は、マンション自体への設備導入が必要です。
- 光回線サービスの申し込み: 光回線のサービスを申し込みます。
- 回線事業者による現地調査: 建物全体の構造や配線ルートなどを確認するための調査が行われます。
- 引き込み・宅内工事: 管理組合の許可を得た上で、個別に光ファイバーケーブルを引き込み、宅内工事を行います。
- 設定・利用開始: ルーターなどを設定し、インターネットを利用開始します。
電話線しかないご自宅でも、光ファイバーケーブルの敷設工事を行うことで、高速で快適な光回線インターネット環境を手に入れることができます。
- 戸建ての場合: 比較的自由に工事を進められますが、費用と時間に余裕をもって計画しましょう。
- マンションの場合: 既に設備が導入済みであればスムーズですが、未導入の場合は管理組合や管理会社との連携が最も重要になります。
ご自身の住居形態に合わせて最適な光回線導入プランを検討してください。