フルサイズ用のレンズをAPS-Cセンサー搭載のカメラで使用すると、写真に写る範囲(画角)が狭くなり、望遠で撮影したような効果が得られます。これは、APS-Cセンサーがフルサイズセンサーよりも小さいため、レンズを通ってきた光の一部しか捉えられないことが原因です。
この画角の変化は「焦点距離乗数(クロップファクター)」で表され、APS-Cの場合は一般的に1.5倍または1.6倍となります(メーカーによって異なります)。つまり、フルサイズ用レンズの焦点距離に1.5または1.6を掛けた値が、APS-C機で使用した際の35mm判換算(フルサイズ換算)の焦点距離になります。
逆に、APS-C機でフルサイズ機と同等の画角を得たい場合は、フルサイズ換算の焦点距離を1.5または1.6で割った値の焦点距離を持つAPS-C用レンズを選ぶ必要があります。
以下は、主要メーカーの焦点距離乗数と、代表的な焦点距離における換算表です。
- Canon: 1.6倍
- Canon以外(Nikon/Sonyなど): 1.5倍
フルサイズ用レンズをAPS-Cで使用した場合の焦点距離換算表
この表は、ある焦点距離のレンズをAPS-C機で使用した際に、どのくらいの焦点距離(35mm判換算)になるかを示しています。
例えば、焦点距離50mmレンズをCanonのAPS-C機に装着すると、約80mm相当の画角になります。これは、50mmにCanonの焦点距離乗数1.6を掛けた結果です。同様に、Nikon/SonyのAPS-C機では、50mm × 1.5 = 75mm相当の画角となります。
レンズの実焦点距離 (mm) | Canon APS-C (換算焦点距離 mm) | Nikon/Sony APS-C (換算焦点距離 mm) | 画角 |
---|---|---|---|
14 | 22 | 21 | 約114° |
20 | 32 | 30 | 約94° |
24 | 38 | 36 | 約84° |
28 | 45 | 42 | 約75° |
35 | 56 | 53 | 約63° |
50 | 80 | 75 | 約47° |
85 | 136 | 128 | 約29° |
100 | 160 | 150 | 約24° |
135 | 216 | 203 | 約18° |
200 | 320 | 300 | 約12° |
フルサイズとAPS-Cで同じ焦点距離のレンズで同じ場所から撮影した場合は、被写体のサイズが1.6倍(1.5倍)になります。
APS-Cでフルサイズ換算の焦点距離を得るために必要なレンズの実焦点距離
APS-C機で特定の焦点距離(35mm判換算)の画角を得たい場合に、どの焦点距離のレンズを選べばよいかを示しています。
例えば、フルサイズ機で50mmレンズを使った時の画角(いわゆる標準レンズの画角)をAPS-C機で再現したい場合、Canonでは約31mm、Nikon/SONYでは約33mmのAPS-C用レンズを選ぶことになります。
つまり、表現したいフルサイズ換算の焦点距離が決まっている場合、1.6(Canon)もしくは1.5(Canon以外)で割ることで必要なレンズの焦点距離を割り出すことができます。
フルサイズ換算で得たい焦点距離 (mm) | Canon APS-C (必要なレンズの焦点距離 mm) | Nikon/Sony APS-C (必要なレンズの焦点距離 mm) | 画角 |
---|---|---|---|
14 | 9 | 9 | 約114° |
20 | 13 | 13 | 約94° |
24 | 15 | 16 | 約84° |
28 | 18 | 19 | 約75° |
35 | 22 | 23 | 約63° |
50 | 31 | 33 | 約47° |
85 | 53 | 57 | 約29° |
100 | 63 | 67 | 約24° |
135 | 84 | 90 | 約18° |
200 | 125 | 133 | 約12° |