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先進国の出生率ランキング(OECD38カ国)

ライフ

世界の人口動態を理解する上で、出生率は重要な指標です。

一般的には合計特殊出生率(Total Fertility Rate, TFR)が使われており、これは一生のうちに一人の女性が産む平均的な子供の数を表します。この数値は経済、社会政策、文化的価値など、多くの要素が複雑に絡み合う結果となっています。

この記事では、先進国における合計特殊出生率をランキング形式で紹介します。

先進国の出生率ランキング

先進国の出生率を多い順に表形式で整理しています。なお、本記事での先進国の対象はOECD38カ国としています。2023年時点でOECD公式サイト上で公開されているデータを引用しています。

先進国の出生率ランキング(OECD38カ国)

順位国名合計特殊出生率
(2021年時点の推定)
備考
1イスラエル3.00
2チェコ1.83
3メキシコ1.82
4アイスランド1.82
5フランス1.80
6デンマーク1.721.55(2022年)
7アイルランド1.72
8コロンビア1.72
9トルコ1.70
10スウェーデン1.67
11アメリカ合衆国1.66
12スロヴァキア1.64
13スロベニア1.64
14ニュージーランド1.64
15オランダ1.62
16エストニア1.61
17ベルギー1.60
18ハンガリー1.591.52(2022年)
19ドイツ1.58
20ラトビア1.57
21ノルウェー1.551.41(2022年)
22チリ1.54
23イギリス1.53
24コスタリカ1.53
25スイス1.51
26オーストリア1.48
27オーストラリア1.48
28フィンランド1.46
29ギリシャ1.43
30カナダ1.43
31ルクセンブルク1.38
32リトアニア1.36
33ポルトガル1.35
34ポーランド1.33
35日本1.301.26(2022年)
36イタリア1.25
37スペイン1.19
38韓国0.81
引用元:OECD Family Databaseの2023年時点での最新データ

出生率に関しての参考情報

人口を維持するための出生率

人口を維持するための出生率は一般的に2.1とされています。これは、一人の女性が生涯で産む子供の数が2.1人であれば、死亡や他の要因を除いて、各世代で人口が維持されるという数値です。

しかし、この数値は理論的なもので、実際の状況はその国や地域の乳幼児死亡率や成人の死亡率、年齢構成など、さまざまな要素によって影響を受けます。例えば、乳幼児死亡率が高い地域では、2.1以上の出生率が必要であり、また、高齢人口が多い地域では、2.1よりも高い出生率が必要になることがあります。

また、国際移住も人口維持に影響を与えます。出生率が2.1未満でも、移住者の数が多ければ、全体の人口は増加することがあります。

出生率を決める要因

出生率を決める要因はいくつかありますが、以下に主要なものを挙げます。

所得レベル

一般的に、低所得から中所得の国では、出生率が高い傾向があります。これは、社会保障制度や医療サービスが未発達で、子供を育てるための高い費用がかかるためです。また、子供が親の老後の支えとなる文化も出生率を高く保つ要素となります。

教育レベル

女性の教育レベルが低いと出生率が高いという関連性が見られます。教育を受けた女性は、経済的に独立しており、子供を産む選択肢に対してより自由になります。また、適切な性教育により、適切な避妊方法についての知識も得られます。

都市化の進行度

都市化が進んでいない地域では、出生率が高い傾向があります。都市生活者は教育やキャリアに焦点を合わせ、子供を持つことを遅らせる傾向があります。一方、農村地域では、労働力としての子供の需要があり、家族構造が大きく、出生率が高いことが一般的です。

宗教

一部の宗教では、子供を多く持つことが奨励されることがあり、これが高出生率に寄与することがあります。

これらはあくまで一般的な傾向であり、個々の国や地域によって異なる要素が出生率に影響を与えることがあります。また、これらの要素は相互に関連しており、特定の要因のみでの説明は困難です。

出生率の高い国

家族に対する社会的支援や女性の職業進出を推進する政策により、高い出生率を維持しています。

イスラエル

イスラエルがこのリストのトップに立っていることは、その独自の文化と社会政策の影響を反映しています。イスラエルはユダヤ教が主要な宗教で、伝統的に子供を持つことが価値観の一部として強く推奨されていることなどが背景にあります。

チェコ

チェコの出生率は近年上昇傾向にあります。主な理由は、育児支援政策の改善と経済状況の改善によるものと考えられます。特に2000年代からの経済成長と低失業率は、子育て環境の向上につながりました。また、政府は子育て支援策を充実させ、子供の数に応じた児童手当の提供、長期の育児休暇制度、保育施設の充実などを進めています。

メキシコ

メキシコの出生率は、特にラテンアメリカ諸国と比較して高いです。これは文化的、社会的、経済的な要素が絡み合った結果です。伝統的な家族観やカトリック教の影響なども出生率を押し上げる要素となっています。

アイスランド

アイスランドの出生率が比較的高い理由は、同国の進んだ家族支援政策と高いジェンダー平等にあります。長期の有給育児休暇、手頃な価格の子育て支援サービス、子どもの教育に対する公的投資などが、子育てをしやすい環境を生み出しています。また、ジェンダー平等が高いことで、女性が子育てと仕事を両立しやすい環境が整っています。

出生率の低い国

日本、イタリア、スペイン、韓国の出生率が低い理由はいくつかあります。以下に、主な要素を挙げてみます。

日本

日本では高い教育コスト、住宅費用の高騰、非正規雇用の増加などが子供を持つことへの経済的な障壁となっています。また、男女間の役割分担の固定観念や、働き方に対する伝統的な考え方も、女性が仕事と子育てを両立することを困難にしています。

イタリア

イタリアでは若者の失業率が高く、経済的に安定した状態で家庭を持つことが難しい状況が続いています。また、南部の地域では家族間の役割分担の伝統が強く、女性が家庭と仕事を両立することが難しい状況があります。

スペイン

スペインでも若者の失業率が非常に高く、経済的な安定を得て家庭を持つことが困難な状況が続いています。さらに、社会保障の不十分さや、女性が家庭と職業を両立するのが難しい環境も、出生率の低下を招いています。

韓国

韓国では教育費用が非常に高く、親たちに大きな経済的負担をもたらしています。さらに、女性が仕事と家庭を両立することが難しい社会環境、高いワークプレッシャー、高齢化と少子化の循環などが、出生率の低下に影響しています。

これらの国々では、政府が家族支援政策を強化し、仕事と家庭生活を両立する環境を整備することで、出生率の上昇につながるかもしれません。ただし、これらの問題は深層的なものであり、短期間での改善は難しいと考えられます。

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