生成AIに個人的な相談をするときは、氏名や住所などを省き、回答に必要な情報に絞って入力するのが基本です。
パスワードやAPIキーは貼り付けず、顧客情報や社内資料は勤務先のルールと承認された利用環境を確認してください。
入力内容が保存・学習に使われる範囲は、サービスや設定によって異なります。また、回答を誰かに見せるために作った共有リンクや、以前に接続した外部アプリから、意図した以上の情報が伝わることもあります。
生成AIに入力してよい情報・避けたい情報
まず、入力しようとしている情報を次の表に当てはめてください。
| 情報の種類 | 具体例 | 入力するときの判断 |
|---|---|---|
| 公開情報・一般的な質問 | 公開済みの記事、一般的な調べもの、架空のデータ | 相談に必要な範囲で入力する |
| 自分の個人的な相談 | 健康状態、家計、職歴、人間関係の悩み | 氏名・住所・勤務先などを省き、必要な事情や数値に絞る |
| 本人確認・決済情報 | マイナンバー、身分証明書、クレジットカード番号 | 番号や画像をそのまま入力することは避ける |
| 認証情報 | パスワード、APIキー、秘密鍵、認証コード | 実物を貼り付けず、説明やコード例ではダミーに置き換える |
| 他人の非公開情報・業務情報 | 顧客名簿、相談記録、社内資料、未公開のソースコード | 扱う権限と勤務先のルールを確認し、承認された環境で扱う |
家計の相談なら、口座番号や明細の画像を渡さず、「金融資産2,000万円、毎月の生活費20万円」のように必要な数値だけを伝えられます。健康診断の結果も、氏名や患者番号が載った書類をそのまま送る前に、相談したい検査項目と数値を抜き出せないか考えます。
氏名を消しても、勤務先・職種・地域・年齢などの組み合わせで個人が特定されることがあります。回答に関係しない周辺情報も省きましょう。
仕事の資料では、顧客名を仮名に変えても、価格や契約条件などの内容自体が機密に当たる場合があります。匿名化した資料も、社内の利用ルールに沿って扱ってください。
学習利用・保存・共有・外部連携は、それぞれ確認する
AIに渡した情報の扱いは、次の4つに分けると整理できます。
| 情報の扱い | 何が起きるか | 確認するところ |
|---|---|---|
| 学習・モデル改善 | 会話などがAIの改善に利用される | 学習利用への同意・オフ設定 |
| 保存 | 会話やファイルがサービス側に残る | 履歴、保存ファイル、保持期間 |
| チャットの共有 | 共有リンクなどから他人が会話を読める | 作成済みの共有リンク、共有範囲 |
| 外部アプリとの連携 | AIがメールやファイルを参照したり、別のサービスに情報を送ったりする | 接続済みアプリ、アクセス権限、操作の許可 |
学習利用をオフにしても、保存済みの会話や共有リンクは個別に確認します。 不要な履歴の削除、共有の解除、外部アプリの接続解除は、それぞれ別の操作です。
ChatGPT・Gemini・Claudeの学習利用を確認する
個人向けサービスの基本的な扱いは、次のとおりです。
| サービス | 個人向けサービスの学習利用 |
|---|---|
| ChatGPT | Free・Plus・Proの個人用ワークスペースでは既定で有効。設定からオフにできる |
| Gemini | 「アクティビティの保存」がオンの場合、会話がモデル改善などに利用される。オフに変更できる |
| Claude | モデル改善への同意設定に応じて利用される。設定から変更できる |
個人向けの有料プランも、学習利用の設定を確認する対象です。 法人向けは契約上のデータ保護条件が異なるため、業務では勤務先が承認したサービスとアカウントを使ってください。
ChatGPT:データコントロールで学習利用をオフにする
- アカウントメニューから「設定」を開く
- 「データコントロール」を選ぶ
- 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
オフにすると、以降の新しい会話は通常のモデル学習に使われなくなります。ただし、回答への評価などのフィードバックを送信すると、その会話が学習に利用される場合があります。
履歴に残したくない相談には「一時チャット」も使えます。一時チャットとして利用している間はモデル改善に使われず、安全上の目的でコピーが最長30日間保持される場合があります。
開始時のパーソナライズ設定によっては、既存のメモリや外部連携を使うことがあります。また、一時チャットを通常の履歴に保存すると、その後はアカウントの学習・パーソナライズ設定が適用されます。
公式案内:ChatGPTのデータ管理/モデル改善へのデータ利用とフィードバック
Gemini:アクティビティの保存をオフにする
- Geminiの「設定とヘルプ」を開く
- 「アクティビティ」を選ぶ
- 上部の「オン」から「オフにする」を選ぶ
過去のアクティビティも削除したい場合は、「オフにしてアクティビティを削除」を選べます。
オフにすると、今後のチャットは原則としてモデル改善に使われなくなります。ただし、フィードバックを送信した場合は例外があります。
オフにした後も、会話は応答などのためにアカウント内に最長72時間保持されます。安全確保などを目的とした人間によるレビューが行われる場合もあります。
また、オフにすると一部のアプリ連携が使えなくなります。普段利用している連携がある場合は、変更時の案内を確認してください。
公式案内:アクティビティの管理・削除/Geminiアプリのプライバシーハブ
Claude:モデル改善への同意をオフにする
- 「Settings(設定)」を開く
- 「Privacy(プライバシー)」を選ぶ
- 「Help Improve our AI models」をオフにする
オフにすると、新しい会話と過去に保存された会話について、今後の通常のモデル学習への利用が停止されます。すでに開始された学習や、学習済みモデルにはさかのぼって適用されません。
安全対策の仕組みで検出された会話は、設定にかかわらず、安全対策用モデルの改善などに使われる場合があります。また、学習利用を許可した場合は、個人を識別できる情報を除いた学習用データが最長5年間保持されることがあります。
公式案内:モデル改善のプライバシー設定/データの保持期間
共有リンクと外部アプリの接続を確認する
共有リンク:回答以外に何が見えるか確認する
ChatGPT・Gemini・Claudeの個人向け共有リンクは、URLを知っている人が会話を閲覧できる仕組みです。通常、会話の公開には共有リンクを作るなどの操作が必要です。
気づかないうちに誤って公開となっているケースもあるので、定期的にチェックしましょう。
見落としやすいのは、回答だけを同僚に見せたつもりでも、その会話の質問文や過去のやり取りまで共有範囲に含まれているケースです。共有前のプレビューで、見せたい内容以外に個人情報や業務情報が含まれていないか確認します。
以前に作ったリンクも、次の場所から見直せます。各サービス名のリンク先は、公式の共有機能の案内です。
不要なリンクは削除・無効化します。URLは送信相手から転送されることがあり、共有を解除しても、相手が保存したコピーやスクリーンショットまでは回収できません。
外部連携:読み取る情報と実行できる操作を確認する
メールやGoogle Driveなどを接続すると、AIは許可された範囲の情報を検索・参照できるようになります。接続するアプリによっては、メールの送信やファイルの作成・変更なども行えます。
確認したいのは、何を読み取れるか、何を実行できるか、実行前に確認を求める設定になっているかです。特定の資料だけを使いたいのに、広い範囲のファイルやメールへのアクセスを許可していないかも見直します。
接続の確認場所は、次のとおりです。
- ChatGPT:設定 → Plugins(プラグイン)。画面によってはAppsと表示される場合があります。
- Gemini:アプリ連携の設定。
- Claude:Customize → Connectors。
使っていない接続は解除します。引き続き使うアプリは、アクセス対象と操作の権限を確認し、選べる場合は用途に必要な範囲に絞ってください。
個人情報を入力・共有してしまったときの対処法
まず、入力した情報の種類と、共有リンクや外部送信の有無を確認します。状況に応じて、次の対応を進めてください。
| 状況 | 優先する対応 |
|---|---|
| 有効なパスワードやAPIキーを入力した | パスワードを変更する。APIキーなどは失効・再発行する。業務用なら管理担当者へ連絡する |
| 個人情報・機密情報を含む共有リンクを作った | リンクを無効化する。SNSなどの投稿も削除し、共有先が分かる場合は保存・再共有の状況を確認する |
| 顧客情報や社内機密を入力した | 利用サービス、日時、情報の種類、共有状況を記録し、勤務先の情報管理担当者へ速やかに報告する |
| 自分の個人情報を入力し、保存を取り消したい | 対象の会話、別に保存されたファイル、メモリを確認し、不要な情報を削除する |
複数に当てはまる場合は、並行して対応します。会社の情報は、記録の保全や削除も含め、勤務先の対応手順に従ってください。
削除するときは、チャット以外の保存先も確認する
ChatGPTを例にすると、チャットを削除しても、Libraryなどに別保存されたファイルや、その会話から保存されたメモリは残ります。メモリは、今後の回答を自分向けに調整するために使われる情報です。ファイル一覧とメモリの管理画面も確認し、消したい情報があれば個別に削除します。
外部アプリの接続を解除しても、以前の会話に取り込まれた情報は残るため、その会話も確認してください。
削除後の処理には時間がかかる場合があります。ChatGPTでは、削除した会話は原則30日以内にシステムから完全削除される予定ですが、すでにアカウントから切り離されたデータや、法令・安全上の理由で保持されるデータなどには例外があります。
公式案内:ChatGPTのチャット削除と保存データ/メモリなどのプライバシー設定